事例紹介

お客さま事例 アッヴィ合同会社 情報システム部・開発本部

アッヴィ合同会社

業  種
医薬品
事業詳細
医療用医薬品・医療機器の開発、輸入、製造販売
従業員数
1,970人(2025年12月31日時点)
ご担当者
情報システム部 島村氏、開発本部 徳永氏

アッヴィは、米国に本社を構えるグローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業である。深刻な健康課題を解決する革新的な医薬品の創製と提供、そして未来に向けて医療上の困難な課題に挑むことをミッションに掲げている。一人ひとりの人生を豊かにすることを目指し、免疫疾患、がん、精神・神経疾患、さらに美容医療関連のアラガン・エステティックスポートフォリオの製品・サービスを主要領域としている。

オフィス外観

生成AI全盛の時代において、「製薬特化型AI翻訳」が選ばれ続ける理由

新薬開発の承認申請などにおいて、グローバル規模でのタイムリーな対応が求められるアッヴィ合同会社。同社では、米国本社をはじめとする海外拠点との英語を用いた議論が日常的に行われている。また、日本のドキュメントを英訳してディスカッションし、その内容を再度日本語に戻すといったプロセスも日々発生している。

同社は、製薬特化型AI翻訳である「COTOHA® Translator製薬カスタムモデル」の開発にコンソーシアム第一期メンバーとして参画し、2020年からサービスを全社導入。これにより翻訳業務の大幅な効率化とコスト削減、そして社員が本来の業務に注力できる環境の構築を実現した。

近年、社内用生成AIツールが利用可能となる中、同社がなぜ生成AIへの完全移行ではなくCOTOHA® Translatorを利用し続けているのか、そこには「製薬特化」ならではの明確な理由があった。サービス導入を担当した島村氏とユーザー代表である徳永氏に話を聞いた。

抱えていた課題

開発本部 徳永氏

開発本部 徳永氏

導入以前、同社における翻訳作業は、担当者が自力で行うか、外部に委託するかのいずれかであった。しかし、外部委託は時間とコストの負担が大きく、一方で自ら翻訳を行う場合は、担当者が本来注力すべき「考える業務」の時間を圧迫してしまうという課題を抱えていた。

開発本部で承認申請業務の実務を担う徳永氏は、当時の課題についてこう振り返る。「特に当局対応などタイムリーな対応が求められる場面で、日本のドキュメントを英語化して海外と議論し、再び日本語に戻すといったプロセスにおいて、外部委託すると早くても半日から1日のタイムラグが生じてしまいます。ドキュメントによっては半月から1ヶ月を要することもあり、外部委託の手間やタイムラグ、そしてコスト面が大きな課題でした」。

さらに、同社の厳格なセキュリティ要件により、インターネット上の無料翻訳ツールを使用することは禁止されていた。業務量が増加する一方で予算は限られている中、現場の負担を軽減する根本的な解決策の導入が急務となっていた。

COTOHA® Translator製薬カスタムモデル導入の決め手

こうした中、同社は翻訳センター、NTTドコモビジネス、みらい翻訳の3社が共同で立ち上げた「COTOHA® Translator製薬カスタムモデル」の開発に、初期のコンソーシアムメンバーとして参画した。実際に使用しているドキュメントの対訳データ(※1)を提供し、共同で翻訳精度をブラッシュアップしていった。 徳永氏は、「規制用語などの製薬の専門用語が充実しており、かつ、社内用語をユーザー辞書に登録して優先的に適用できる点が評価のポイントでした」と語る。このように翻訳実務の現場から高く評価される一方で、情報システム部 島村氏は、システム管理の側面から導入の決め手を次のように話す。 「社内の厳しいITセキュリティ審査や脆弱性テストをクリアし、米国本社からの承認も得られました。また、人数制限のないライセンス形態により、全社員へ迅速に展開でき、契約や管理の負荷が低い点も大きなメリットでした」。

※1 対訳データ:原文と翻訳文をペアにしたものを指す。対訳コーパスともいう。機械学習の元となるデータ。

社内用生成AIとの比較検証:確かな品質の差とユーザーの声から継続利用を決定

順調に活用が進む中、大きな転機が訪れる。社内で機密情報も扱えるセキュアな生成AI環境が整ったことを受け、グローバル本社から「翻訳業務も社内用生成AIへの置き換えを検討するように」という指示が下った。

情報システム部の島村氏は、いくつかのドキュメントを用いて、社内用生成AIとCOTOHA® Translatorの翻訳品質の比較検証を実施した。 「社内用生成AIが訳出した結果と、COTOHA® Translatorの結果を比較したところ、やはりCOTOHA® Translatorの方が専門用語の一貫性があり、質が高いという明確な結果が出ました。社内用生成AIの翻訳は、カジュアルに内容を把握する程度であれば読めるのですが、外部に出すクオリティのドキュメントとなると、そのままで使うにはまだ課題がありました」(島村氏)。

情報システム部 島村氏

情報システム部 島村氏

この方針転換をめぐる動きは、現場のユーザー部門にとっても大きな死活問題だった。徳永氏は、当時の危機感をこう振り返る。 「私たちユーザーとしては、本当に困るという強い思いがありました。そこで、実際に業務で使用しているドキュメントを用いて、社内用生成AIとCOTOHA® Translatorの両方で翻訳をかけ、比較検討しました。社内用生成AIとCOTOHA® Translatorにそれぞれ長所・短所があり、もしCOTOHA® Translatorを使えなくなれば、私たちの業務に影響することを上層部に示し、社内用生成AIとCOTOHA® Translatorの併用利用を訴えかけました」。

検証の結果、品質の優位性と、現場利用者からの熱い声が後押しとなり、同社では無事にCOTOHA® Translatorの継続が承認された。

プロ翻訳者による精度評価でCOTOHA® Translator製薬カスタムモデルが全項目高評価を獲得。英語から日本語、および日本語から英語の翻訳において、「流暢さ」「情報伝達性」「整合性」のすべての評価項目で、COTOHAのスコアが生成AIを上回っていることを示すグラフ。

導入後実感したこと:「考える時間」の創出と、使えば使うほど進化する翻訳精度

COTOHA® Translatorの導入により、これまで数週間かかっていた翻訳作業が、数時間、あるいは数分レベルで完了するほどの劇的なスピードアップを実現した。

「最大のメリットは、翻訳にかかっていた時間を『考える時間』にシフトできたことです。また、専門外の担当者でも一定の質が担保された翻訳結果を得られるため、業務の属人化が解消され、アシスタントや同僚と作業を分担できるようになりました」と徳永氏は実感を込めて語る。

さらに同社は、継続的な翻訳精度の向上も実感している。翻訳センターに翻訳を一部外注した際、専門家の手によってエディット(修正)された質の高い翻訳データは、COTOHA® Translatorのモデル学習にフィードバックされている。

「実際に使っていても、エディットされた内容がシステムに反映され、クオリティが年々上がっていることを実感しています」と徳永氏は語る。ユーザーの利用と翻訳センターのプロフェッショナルな知見が学習データとして還元され、使えば使うほど精度が増していくこの好循環のサイクルも、同社がCOTOHA® Translatorを高く評価する理由の一つだ。

機械ができることはシステムに委ね、社員は本来集中すべき業務に効率よく取り組み、ウェルビーイングも向上する。同社が重んじるこの姿勢こそが、日本における「働きがいのある会社」ランキングの常連企業として評価される優れた企業文化そのものと言える。

翻訳センターでできること

徳永氏は、「ニューモダリティ(治療手段)に関する技術用語などを継続的に学習させ、さらなる精度向上をお願いしたいです」と継続的な精度向上への期待を語る。それに加え、COTOHA® Translatorだけでは完結しきれない「翻訳会社ならではの専門性」に厚い信頼を寄せる。

「たとえばIB(治験薬概要書)などのドキュメントの改訂において、元のフォーマットを崩さずに差分だけを綺麗に翻訳する作業は、ドキュメントを熟知していないと難しい場面があります。そうした際に外部委託できることは非常に助かっています。また、COTOHA® Translatorでどんなに綺麗な日本語が上がってきても、それが医学的に適切か判断できる専門家の目が必要です。不足したリソースを補う際の外部委託や、各分野の専門家によるレビューなど、プロフェッショナルなオプションは、今後も非常に利用価値が高いと感じています」。

左から順に、アッヴィ合同会社 開発本部 徳永氏、情報システム部 島村氏

左から順に、アッヴィ合同会社 開発本部 徳永氏、情報システム部 島村氏

生成AIが台頭する時代であっても、専門性が求められるビジネスの現場においては「特化型AI翻訳」の価値は揺るがない。COTOHA® Translatorが持つ迅速かつ高品質な翻訳能力と、人が持つ高度な専門性と知見を融合させることで、これからのビジネスに真の相乗効果をもたらしていく。翻訳センターはこれからも高精度の翻訳プラットフォームと専門性の高いプロフェッショナルサービスを通じて、アッヴィのビジネスを強力にサポートしていく。

※   記載の内容は2026年6月現在のものです。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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