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特許情報(第70回)ベトナム:改正知的財産法の概要

2026.3.24

2025年12月10日、ベトナム国会において知的財産法の改正法が可決され、2026年4月1日より施行されます。本改正は、特許および工業意匠の出願・審査手続の迅速化と、保護範囲の拡大を主な目的としています。

出願公開の早期化

  1. 特許および工業意匠出願は、方式審査通過後原則1か月以内に公開されることとなり、従来より公開の時期が早まります。
  2. 異議申立期間の短縮
    特許は原則公開日から6か月以内(早期審査請求がなされた場合は3か月)、工業意匠は3か月以内に短縮されます。
  3. 特許実体審査請求期限の前倒し
    発明特許については、出願日または最先の優先日から36か月以内に実体審査請求を行う必要があります(従来は42か月)。
  4. 実体審査期間の短縮
    特許は原則12か月以内、工業意匠は5か月以内での審査完了を目標とする制度に変更されました。
  5. 特許加速審査制度の制度化
    これまで限定的であった加速審査について、法令上の制度として正式に位置付けられました。具体的には、加速審査は審査請求後3か月以内に申請する仕組みが予定され、結果は3か月程度で提示される運用が見込まれます(詳細は実施規則で確定)。
  6.  国防・安全保障関連発明の外国出願規制
    上記の発明については、外国出願に際し事前の行政機関の承認が必要となります。具体的には、規制対象は、ベトナム居住のベトナム国籍個人またはベトナム法人がベトナムで創作した、国家機密に属する発明となります。また、海外出願は国防省または公安省の事前承認が必要となります。※対象となる技術分野や国家機密の範囲については、今後の実施細則で明確化される予定です。
  7. 工業意匠の保護範囲拡大
    部分意匠やGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)等の非物理的デザインが明確に保護対象に追加されました。
  8. 工業意匠の新規性喪失例外の拡大
    出願日前6か月以内に行われた一定の開示については、工業意匠の新規性を失わないものとする例外規定が拡充されました。
  9. 委任状の有効期間の明確化
    有効期間の記載がない委任状は、原則として有効期間は「発行後1年」、又は「委任された業務の完了まで」となります。

(出典:ベトナム国会公布文書)