ことログ|中国語の特徴と翻訳時の注意点

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母語として話す人の数が世界で最も多い中国語。
漢字を使う点で、中国語は日本人にとって親しみやすい外国語でもありますよね。
中国大陸をはじめ、香港、台湾、シンガポール、マレーシアなど、東アジアや東南アジアの広い地域、さらには世界各地の華人社会で広く使われています。中国語を習得すれば、ビジネスや旅行、文化交流など、さまざまな場面で多くの人と交流できるチャンスが広がりますね。
この記事では、英語の次に話者数が多い中国語についてご紹介します。

最近は日本の街中でも、中国語を見たり聞いたりする機会が増えたよね!
中国語がどんな言語なのか、みんなで一緒に学んでみよう!
中国語の概要:「中国語」ってどんな言語?
中国語の標準語とは?同じ中国語でも違いがあるの?

中国には人口14億人以上、56の民族が暮らしており、多民族国家として知られています。そのため国内ではさまざまな言語が使われています。
一般的に「中国語」と言うと、中国の総人口の9割以上を占める漢民族が使用する言語を指します。漢民族の言語には多くの方言がありますが、これらを総称して「漢語」と呼ぶこともあります。
しかし、こうした方言は発音や語彙に大きな違いがあり、互いに通じないことも珍しくありません。
そこで、1932年に中華民国政府は、北京語の発音と北方方言の語彙を基礎とした「普通話(標準語)」を制定しました。これは現在の中国の公用語であり、英語では「Mandarin(マンダリン)」と呼ばれています。
普通話は学校教育、テレビ放送、ビジネスなどで広く使われており、中国語学習のスタンダードとなっています。
また、国連の公用語にも採用されています。
漢字の種類と読み方
中国語の漢字には「簡体字」と「繁体字」という2種類の字体があり、国や地域によって使われる字体が異なります。
それぞれの特徴や違いを簡単にご紹介します。
- 【簡体字と繁体字】
中国語には「簡体字(simplified))と「繁体字(traditional)」の2つの字体があります。もともとは「繁体字」が使用されていましたが、国民全体の識字率を高める目的で、1950年代に中国本土で漢字の簡略化が進められ、表記を簡単にした「簡体字」が導入されました。
一方、台湾、香港、マカオでは、簡体字は導入されず、現在でも繁体字が使われ続けています。
「簡体字」と「繁体字」は見た目には異なりますが、基本的に発音は同じで、ピンインも共通です。ただし、国や地域によって使われる表記や言い回し、さらには語彙そのものが異なる場合があります。 - 【ピンイン】
ピンインとは、中国語の漢字の読み方をアルファベットと声調記号で表したもので、日本語で言う「ふりがな」のようなものです。一般的な中国語の辞書は、このピンインのアルファベット順に並んでいます。 - 【声調】
「声調」とは、音声の高低の変化を表すアクセントのことです。
中国語では、漢字1文字ごとに声調があり、発音において大変重要な役割を果たします。声調はピンインの上に付く4つの記号で表されます。中国語(普通話)の「声調」は全部で4種類あることから「四声」と呼ばれています。同じ音でも、「声調」が異なると意味がまったく変わってしまうため、正確に発音することが非常に重要です。

“ma”の音でも、第1声、第2声、第3声、第4声の違いによって意味がまったく異なってきます。
声調を間違えると大きな誤解を招いてしまうかもしれません。


正しいピンインを覚えると、辞書を引いたり、キーボードで中国語を入力したりできるようになるよ。
一般的なパソコンの文字入力は、ピンイン入力といって漢字の読み方をローマ字で入力して変換するよ。
中国語の特徴:日本人が学びやすい言語!?
中国語が学びやすいと感じる理由の一つに、日本語と中国語に共通する漢字の存在があります。中国語を学習したことがない人でも、漢字を見ればある程度意味を推測できることもあるかもしれません。
漢字のおかげで、中国語は日本人にとって身近に感じられる外国語の一つと言えるでしょう。
日本語と中国語の文法の違い

日本語は、「主語+目的語+述語」という語順を基本とし、助詞によって意味が明確になります。また日本語の語順にはある程度の自由があり、文脈に応じて柔軟に変えることが可能です。
さらに敬語は日本語では高度に発達した表現の一つです。
では、中国語の文法にはどのような特徴があるのでしょうか?
- 【語順が大事!】
中国語の基本の語順は「主語+述語+目的語」です。
日本語には「~は」「~が」といった助詞があり、語順が変わっても文の意味は変わらないことが多いのですが、中国語には日本語のような助詞がないため、語順が文の意味を決定する重要な要素となります。つまり、日本語では「助詞が文の意味を決める」のに対し、中国語では「語順が文の意味を決める」のです。
- 【時制がない?】
中国語には日本語のような「動詞の活用形」がありません。「時間を表す言葉」を文に入れて時制を表します。
- 【敬語がない?】
日本語のような「丁寧語」や「謙譲語」は中国語には存在しませんが、中国語の単語には丁寧な意味や敬意を含んだものがあります。例えば、ビジネスの場では、男性には「先生」、女性には「女士」を姓の後につけて呼ぶのが一般的です。これは日本語の「~さん」に近い、丁寧な呼び方としてよく使われます。
また、英語の「please」とよく似ている「请(qǐng)」を使うと、「〜してください」と丁寧な表現になります。
- 【句読点・記号の使い方】
中国語の句読点や記号は、日本語と似ているようで、細かいルールには違いがあります。

外来語と中国語
日本語では、外来語の大半をカタカナで表します。
では、カタカナの無い中国語では、外来語をどのように表現しているのでしょうか?
- (1)音訳(音を参考に作ったもの)
元の音に近い発音の漢字をあてる方法です。その音に近い発音の漢字をあてて、カタカナのように使います。

漢字からは意味の想像がつきませんが、発音を聞くと元の音にとてもよく似ています。
- (2)意訳(意味を参考に作ったもの)
元の単語の意味を考慮して、それにあう意味を持つ漢字をあてる方法です。

音だけでは意味が分からないと思いますが、漢字の意味から考えてみると分かりやすいですね。
- (3)音訳+意訳(音訳と意訳どちらも含まれているもの)
音と意味の両方の要素を組み合わせる方法です。

音訳と意訳が色々なパターンで組み合わさっていますね。
- 【日本の有名人、中国語ではどうなる?】
中国語では「スター」のことを「明星」、「アニメ」のことを「动画」と表します。日本の「スター」や「アニメ」作品は、中国語でどのように表現されているのでしょうか?次の中国語、みなさんはいくつ分かりますか?

カタカナやひらがなは、漢字と違って中国語に直接置き換えることができない分、翻訳や表記には工夫が必要となり、想像力が膨らんで面白いですね。
例えば、「ジャッキーチェン→成龙(チェンロン)」や「孫文→中山先生(ジョンシャン・シェンション)」など、中国語では人名や地名が日本語とは違う呼び方をされる場合もあり、日本語の発音をそのまま使っても中国では全然伝わらない!ということがよくあります。

自分の名前も中国語でどう発音するかを知っておくと、自己紹介のときに役立つよ!
中国語翻訳の注意点やポイント
中国語には簡体字と繁体字の2つの字体があることをご紹介しました。そのため、中国語に翻訳する際には、そのドキュメントを「どこで使うか」、つまり仕向地の情報が非常に重要になります。
簡体字、繁体字と仕向地

仕向地とは、翻訳後の文書やコンテンツが実際に使われる「国や地域」を指します。中国語で使われる漢字は、地理的・文化的側面により、簡体字1種類(中国本土向け)と繁体字2種類(台湾・香港向け)に分かれます。台湾と香港の繁体字の字体は共通ですが、用語や表現に違いがあり、特に口語表現や専門用語が異なります。

また、「簡体字⇔繁体字は字体を変更すれば問題ない」と思われがちですが、実際に国や地域によって使われる単語や言い回しが異なることが多いため、翻訳の際には注意しなければなりません。

上記の表では同じ単語を簡体字と繁体字に翻訳したときの違いを表しています。
単純に字体を置き換えるだけでは適切な翻訳にはならないことがお分かりいただけると思います。
日本語から中国語に翻訳する際は、簡体字版と繫体字版をそれぞれ別々に翻訳することをおすすめします。
番外編|知っておきたい!中国語特有の表現
- 【倍数表現】
増加分を表す倍数表現には注意が必要です。
今年学生人数比去年增加了三倍。
→今年の学生数は昨年より3倍分増加した。(=昨年の4倍になった)
例えば、昨年の学生数が100人だった場合、今年は3倍分の300人増えて、合計で400人になったことになります。
この表現は「元の3倍になる」という意味ではなく、「元の人数から3倍分増えた」という意味になります。
- 【割引表現】
中国のスーパー(超市)などでは以下のような割引表現をよく見かけます。
买一送一
→1個買えば1個無料(=つまり50%OFF)
また、日本には「〇割引」という表現がありますが、中国にも似たような表現があります。代表的なのは「〇折」です。
9折
→定価の9割の価格で販売する(=つまり10%OFF)
以上は代表的な例ですが、さまざまな割引表現をマスターして、中国でのショッピングをお得に楽しみましょう!
まとめ
いかがでしたか。今回は第一言語として最も話者の多い「中国語」についてご紹介しました。
中国語は同じ漢字を使うため、日本人にとって意味を推測しやすい反面、漢字の意味や使い方が異なる場合もあるため、翻訳の際は十分な注意が必要です。
翻訳センターでは、80言語以上に対応した翻訳サービスを展開しています。
多言語翻訳に関するご質問やご相談は、下記の「翻訳センターへ問い合わせる」からお気軽にお問い合わせください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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翻訳センター ブログチーム

とらんちゃん
「とらん」だけに「トランスレーション(翻訳)」が得意で、世界中の友達と交流している。 ポケットに入っているのは単語帳で、頭のアンテナでキャッチした情報を書き込んでいる。
- 生年月日1986年4月1日(トラ年・翻訳センター創業と同じ)
- モットー何でもトライ!
- 意気込み翻訳関連のお役立ち情報をお届けするよ。
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