Excelの翻訳機能について|一括変換や無料ツールの活用方法を解説
Index
Excelは表計算だけにとどまらず、進捗管理やToDoリストの作成など、ビジネスのあらゆる場面で活躍しています。
日々の業務の中で、「このデータを英語に翻訳したい」「海外チームと情報を共有するために多言語化したい」と思うことはありませんか。そのようなときに手軽に使えるのが、Excelに搭載されている翻訳機能です。
この記事では、Excelの翻訳機能の使い方から、翻訳に使える便利な関数、さらに無料ツールの活用方法と注意点について解説します。
とらんは、翻訳するときExcelを使うことも多いよ。
たくさんの言語が、1シートでまとまっているのは、見やすくて便利だよね。
Excel翻訳について、この記事で学んでみよう!
Excelの翻訳機能の基本的な使い方
Excelには、Microsoft Translatorを利用した翻訳機能が標準搭載されています。そのため、追加のアドインや外部ツールを使わずに、セル内のテキストを手軽に翻訳できます。
ここでは、Excel翻訳機能の基本的な使い方を3つ解説します。
セルごとに翻訳する方法
特定のセルだけを翻訳したい場合は、以下の手順で手軽に行うことができます。
1. 翻訳したいセルを選択します。
2. [校閲]タブにある[翻訳]ボタンをクリックします。

3. 画面右側に[翻訳ツール]が表示され、選択したセルの内容が[翻訳元の言語]の検索窓に自動で入力されます。
4. [翻訳元の言語]と[翻訳先の言語]を指定します。
5. 翻訳結果が、瞬時に表示されるため、作業効率が大幅に向上します。

指定範囲内のセルを一括変換する方法
複数のセルや表全体など、指定した範囲を一括で翻訳したい場合も、上記と同様の手順で行うことができます。
1. 翻訳したい範囲をマウスでドラッグして選択します。

2. [校閲]タブにある[翻訳]ボタンをクリックします。
3. 選択した範囲の翻訳結果が、下記のようにまとめて表示されます。

複数セルの翻訳結果をまとめて貼り付ける際のコツ
複数セルを一括で翻訳し、翻訳結果をコピーして、元のセルに貼り付けると、下記のようにすべての訳文が一つのセルにまとめて入ってしまうことがあります。

この現象を回避し、元のセルの範囲を保持したまま訳文を原文に上書きしたい場合は、以下の手順を試してみてください。
1. 真ん中の「↑↓」をクリックして、[翻訳元の言語]と[翻訳先の言語]を入れ替えます。
2. [翻訳元の言語]側に移動した訳文をコピーします。

3. その訳文をExcelの元のセルに貼りつけることで、原文と同じセルの位置に訳文を上書きできます。

翻訳センターの英語表記は、「Honyaku Center Inc.」だけど
Excel翻訳だと「Translation Center」と翻訳されちゃうね。
固有名詞などは適宜、修正が必要だね。
翻訳をさらに効率化するTRANSLATE関数
コピー&ペースト作業をさらに効率化したいときは、TRANSLATE関数が役に立ちます。
TRANSLATE関数は、元のセルを参照して別のセルに翻訳結果を自動で出力できるため、手動で訳文を貼り付ける手間を大幅に省くことができます。
TRANSLATE関数の基本構文:=TRANSLATE(text, [source language], [target language])
- text:翻訳したい文字列またはセル
- [source language]:原文の言語(例:日本語の場合は"ja")
- [target language]:翻訳したい言語(例:英語の場合は"en")
TRANSLATE関数の使用手順
1. A列の日本語を英語に翻訳してB列に表示する場合、B1セルに「=TRANSLATE(A1, "ja", "en")」と入力します。

2. B1セルに翻訳結果が表示されます。
3. B1セルの右下をダブルクリックすれば、B2セル以降にも自動で翻訳結果が入力されます。

この方法を使えば複数行の翻訳も一括で処理できるため、大変便利です。
複数の言語もTRANSLATE関数なら一括で翻訳できる
原文に複数の言語が混在している場合でも、TRANSLATE関数を使えば、一括で指定の言語に翻訳することができます。
複数言語のときの使い方:=TRANSLATE(A1,,"en")
関数の第2引数である[source language]を空欄にすることでExcelが自動で言語を判別してくれます。
そして第3引数の[target language]には翻訳したい言語を指定します。

このように設定することで、複数の言語が混在していても、まとめて一つの言語に翻訳することができます。
TRANSLATE関数は、翻訳元・翻訳先の言語を指定しなくても使える
実はTRANSLATE関数は、翻訳元や翻訳先の言語を指定せず「=TRANSLATE(A1)」と設定するだけでも使用できます。言語を指定しない場合、Excelはシステムで使用している言語に自動的に翻訳します。
例えば普段から日本語環境でExcelを使用している場合は、「=TRANSLATE(A1)」で日本語に翻訳される仕組みです。手っ取り早く何と記載されているか知りたいときに、大変便利です。

Googleスプレッドシートにも翻訳に関する関数がある
Google スプレッドシートには、ExcelのTRANSLATE関数と同様の機能を持つGOOGLETRANSLATE関数があります。
基本的な使い方は、TRANSLATE関数と同じです。
=GOOGLETRANSLATE(text, [source language], [target language])
- text:翻訳したい文字列またはセル
- [source language]:原文の言語(例:日本語の場合は"ja")
- [target language]:翻訳したい言語(例:英語の場合は"en")
もう一つの便利な関数 DETECTLANGUAGE関数
Excelには、TRANSLATE関数の他に、言語を判別する関数もあります。DETECTLANGUAGE関数です。
この関数は、対象のセルの言語を自動的に判別してくれるため、複数の言語が混在するデータを扱う際に非常に便利です。
=DETECTLANGUAGE(text)
- text:翻訳したい文字列またはセル
B1セルに「=DETECTLANGUAGE(A1)」と入力してみると、A1セルの言語を判別してくれます。

なお、これらの関数を使うには、オンライン接続が必要です。また、大量のセルに適用すると処理に時間がかかることがあるため、使用時は注意しましょう。
識別結果は言語コードで出てくるよ。
言語コードの一覧は、こちら(外部サイト)を見てね。
これでどんな言語が送られてきても安心だね。
Excelの翻訳機能が抱える2つの課題
Excelの翻訳機能は手軽で便利ですが、ビジネスや専門分野での利用には注意が必要です。特に気をつけたい2つの課題を解説します。
課題1:専門性の高い翻訳には向かない
Excelの翻訳機能は、一般的な文章や簡単なビジネス文書には十分対応できます。
しかし、医薬・特許・金融・技術文書などの専門性の高い分野では、原文の文脈理解が不十分なために誤訳や訳抜け、不自然な表現が生じる可能性があります。専門性が高く、特にビジネス上重要な場面で使用される文書においては、翻訳結果をそのまま使用するのではなく、原文と訳文を突き合わせてチェックする工程を加えることで、契約や安全性に関わる重大なリスクを回避することができます。
課題2:固有名詞や専門用語の登録ができない
Excelの翻訳機能には、用語集やカスタム辞書を登録する機能がありません。そのため、企業名、製品名、業界特有の略語などの固有名詞が、意図しない訳語に変換されてしまうことがあります。特に企業名や製品名での誤訳は致命的なミスと見なされ、信頼を損なうリスクもありますので、翻訳結果をそのまま使用することには注意が必要です。
無料ツールの活用方法
Excelに標準搭載されている翻訳機能だけでは不十分な場合、外部ツールやアプリを活用することで、より効率的かつ高精度な翻訳が可能になります。ここでは、無料翻訳ツールの活用方法をご紹介します。
Excel翻訳に「DeepL」を活用する方法
「DeepL」は、その高い翻訳精度から多くのビジネスユーザーに利用されている翻訳ツールです。
無料版では、WordやPowerPointなどのファイル翻訳機能を月に1ファイルまで利用できます。
しかし、Excelを直接上書きして翻訳する機能は無料版では利用できません。
無料版を使って翻訳する場合は、Excelから翻訳したいセルの内容をコピーして、「DeepL」のテキスト入力欄に貼り付け、翻訳結果をコピーしてから、Excelに貼り戻す必要があります。
また、セキュリティにも注意が必要です。無料版では、翻訳結果が「DeepL」のサーバーに送信され、学習データとして利用される可能性があります。
そのため機密情報や重要なデータを翻訳する場合は、有料版の利用をお勧めします。
Excel翻訳(Microsoft Translator)も、「DeepL」と同じで、無料版だと翻訳内容がAIの学習に使われる可能性があるんだよ。
Microsoft 365の法人契約(有料)なら、学習にも使われないから安心!
念のため、使用前に確認してみて。
Excel翻訳に「Microsoft 365 Copilot」を活用する方法
「Microsoft 365 Copilot」を使えば、文脈を踏まえて、より自然な表現の翻訳を提案してもらうことが可能です。
ここでは、Excel翻訳に「Copilot」を活用する方法をご紹介します。
「Copilot」を使った翻訳手順
1.「Copilot」に翻訳したい内容を打ち込みます。


2.日本語と英語を並べたテーブル形式で出力するよう、「Copilot」に指示します。

3.生成されたテーブルをコピーしてExcelに貼り付けます。この表を、Excelで出力してもらうこともできます。
Excelファイルに直接上書きして翻訳することは、現時点ではまだ難しいようです。
しかし、「この用語を使って翻訳してください」といった細かい指定ができ、あらかじめ定められた用語を統一した翻訳が可能です。さらに「Copilot」ではExcelやCSV形式の用語集を読み込んで、翻訳に反映させることもできます。心強いですね。
用語集については、下記の記事でも紹介しています。
Tips-Excelで翻訳しやすいフォーマットの作成方法
翻訳の品質と効率を上げるためには、Excelのフォーマット設計が重要なポイントになります。
翻訳に適したExcelフォーマットを作成するためのコツをご紹介します。
最も効果的なのは、「シンプルなフォーマットにする」ことです。
1. セル内で改行しない(Alt+Enterを使わない)
セル内で改行すると、翻訳ツールが複数の文章と認識してしまい、意図しない翻訳結果になる可能性があります。
正しい翻訳結果を得るためにも、セル内での改行は控えましょう。

2. 一つの文章を複数のセルに分けない
レイアウトの都合で、文章を複数のセルに分割して入力するケースもよくありますが、翻訳ツールでは別々の文章として処理されてしまいます。
翻訳ツールを使う場合は、一つの文章を一つのセルにまとめるのが基本です。
3. 文字装飾は使用しない
赤字・太字・下線などの文字装飾は、翻訳ツールでは基本的に反映されません。強調したい内容がある場合は、別の列に注釈を入れるなど、装飾以外の方法で伝える工夫が必要です。
4. 翻訳に必要のないデータを載せておかない
メモやコメントなど、翻訳に不要な情報が含まれていると、翻訳ツールがどこを対象にすべきか、混乱することがあります。
またExcelには、非表示セルや非表示シート、入力規則など、見えない情報が多く潜んでいることもあります。例えば日本語のメモを残していたつもりが、翻訳されてしまい、メモを見失うケースもあります。
さらに、従量課金型の有料翻訳ツールを使用している場合は、非表示セルやシートも翻訳対象となるため、翻訳に不要な部分まで課金対象になる可能性もあるので、注意が必要です。
まとめ
いかがでしたか。Excelの標準翻訳機能や翻訳関連の関数、無料ツールをうまく活用することで、日常的な翻訳作業の効率は大きく向上します。
本記事でご紹介した情報が、皆さんの今後の業務に少しでもお役に立てば嬉しく思います。
なお翻訳会社は、Excelファイルの取り扱いに長けており、豊富な実績と経験、専門的なノウハウを持っています。
もしExcel翻訳でお困りであれば、ぜひ一度、翻訳会社に相談してみてください。
正確な翻訳はプロの翻訳会社へ
ビジネスにおいて、翻訳の正確さは信頼性を支える重要な要素です。
AI翻訳など便利な選択肢も増えていますが、セキュリティリスクや誤訳の懸念もあるため、専門性の高い文書や正確さが求められるビジネス翻訳では、プロに頼むと安心です。
翻訳センターは、医薬・特許・工業・金融・法務などの専門分野をはじめ、ビジネス文書や一般的な文書も、幅広く対応しています。まずはお気軽にご相談ください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
※Microsoft Excel、Word、PowerPoint、Microsoft 365 Copilotは、米国 Microsoft Corporation の米国及びその他の国における登録商標または商標です。その他記載の会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。
翻訳センター ブログチーム
とらんちゃん
「とらん」だけに「トランスレーション(翻訳)」が得意で、世界中の友達と交流している。 ポケットに入っているのは単語帳で、頭のアンテナでキャッチした情報を書き込んでいる。
- 生年月日1986年4月1日(トラ年・翻訳センター創業と同じ)
- モットー何でもトライ!
- 意気込み翻訳関連のお役立ち情報をお届けするよ。
New
新着記事
2025.11.26
- お役立ち
2025.11.12
- お役立ち
2025.10.15
- イベントレポート
2025.10.8
- 翻訳あれこれ
お問い合わせ窓口
(受付時間:平日10:00~17:00)
新規のお問い合わせ、サービスについてのご質問など、お気軽にお問い合わせください。